【有吉クイズ】割り箸くじびき

2023年2月21日放送の 有吉クイズ 内で割り箸くじびきという心理戦のあるゲームが行われました(テレ朝POST)。ここでは確率論に基づきどのような戦略がよいのかについて考察します。
間違っているかもしれませんのでそのときはコメントで教えてくださると嬉しいです。
 
 

割り箸くじびき

16 本の割り箸の中にハズレが 1 本ある。4 人のプレイヤーはあらかじめ決められた順番で、どれがハズレか分からない状態の中から順番に割り箸を引いていき、ハズレを引いた人の負けである。ただし、引いた割り箸はくじに戻さないとする。
各プレイヤーは最終的に 4 本の割り箸を引く必要があり、自分のターンで自分が引くべき残り本数から何本引くのかを任意に選ぶことが可能である。ただし、少なくとも 1 本の割り箸を引く必要がある。ハズレを引かずに自分が引くべき 4 本すべてを引いた場合は勝ち抜けである。

4 人のプレイヤー  P_1, P_2, P_3, P_4 がこの順番で割り箸くじびきを行う。

 1 番目: P_1 が 2 本引く
 2 番目: P_2 が 1 本引く
 3 番目:P_3 が 4 本引く( P_3 は勝ち抜け)
 4 番目: P_4 が 1 本引く
 5 番目: P_1 が 1 本引く
 6 番目: P_2 が 3 本引く( P_2 は勝ち抜け)
 7 番目: P_4 が 1 本ハズレを引く

この場合は、7 番目で  P_4 がハズレを引き負けとなる。
 
 

結論

考えうる戦略としては、

 ・何番目に引くのか(番組内では、初めにジャンケンで順番を決めている)
 ・自分のターンで何本引くのか

があると思いますが、結論としては上のふたつの「何番目に引こうが」「自分のターンに何本引こうが」確率としては変わらずに勝率は  \frac{3}{4} となります。
 
 

考察

4 人のプレイヤーを  P_1, P_2, P_3, P_4 として  P_1 が勝つ確率を考えます。

くじびきを引く順番を  P_1, P_2, P_3, P_4 として、次のように左から順番に引いていくとします。

  P_1, P_1, P_2, P_3, P_3, P_3, P_3, P_4, P_1, P_2, P_2, P_2, P_4, P_1, P_4, P_4

途中までは上の例と対応しています。連続するプレイヤー名はそのターンでその数だけ連続でくじを引くことを表しています。このような並べ方の場合の数は 63,063,000 通りあります  \left( \frac{16!}{4! \times 4! \times 4! \times 4!} \right)
注意として、本来の順番ではありえない並び方も数えられていますが、元の並び方を包含しており、このようにしても勝率としては変わらないということを見ていきます。

ここで、 A_i P_1 i \in \{ 1, 2, 9, 14\} 番目でハズレを引く事象とします。 i 番目は上の列の左からの順番で元のゲーム内でのターン数とは異なることに注意してください。
それぞれの事象の確率は次の通りです。どの事象の確率も等しく  \frac{1}{16} となります。

 ・ P(A_1) = \frac{1}{16}
 ・ P(A_2) = \frac{15}{16} \cdot \frac{1}{15} = \frac{1}{16}
 ・ P(A_9) = \frac{15}{16} \cdot  \frac{14}{15} \cdot \frac{13}{14} \cdot \frac{12}{13} \cdot \frac{11}{12} \cdot \frac{10}{11} \cdot \frac{9}{10} \cdot \frac{8}{9} \cdot \frac{1}{8} = \frac{1}{16}
 ・ P(A_{14}) = \frac{15}{16} \cdot  \frac{14}{15} \cdot \frac{13}{14} \cdot \frac{12}{13} \cdot \frac{11}{12} \cdot \frac{10}{11} \cdot \frac{9}{10} \cdot \frac{8}{9} \cdot \frac{7}{8}  \cdot \frac{6}{7} \cdot \frac{5}{6} \cdot \frac{4}{5} \cdot \frac{3}{4} \cdot \frac{2}{3} = \frac{1}{16}

各確率の計算方法ですが、例えば  P(A_2) は、初めにハズレではない割り箸を引き、次にハズレを引きます。初めは 16 本あり、その中でハズレは 1 本なのでハズレを引かない確率は  \frac{15}{16} です。次の番では 15 本の中からハズレを引くので確率は  \frac{1}{15} です。したがって、 \frac{15}{16} \cdot \frac{1}{15} = \frac{1}{16} となります。他の事象の確率も同様に計算します。

次に、自分がハズレを引く確率  P(A_1 \cup A_2 \cup A_9 \cup A_{14}) を求めます。ハズレは 1 本しかないことから各事象は互いに排反となので確率の加法性より、

  P(A_1 \cup A_2 \cup A_9 \cup A_{14}) = P(A_1) + P(A_2) + P(A_9) + P(A_{14}) = \frac{1}{16} + \frac{1}{16} + \frac{1}{16} + \frac{1}{16} = \frac{1}{4}

となります。
以上から、プレイヤー  P_1 が勝つ確率は自分がハズレを引く事象の余事象に等しいことから、

  P(\overline{A_1 \cup A_2 \cup A_9 \cup A_{14}}) = 1 - P(A_1 \cup A_2 \cup A_9 \cup A_{14}) = 1 - \frac{1}{4} = \frac{3}{4}

となります。

今までは、相手と自分の引く本数と順番を固定したときのひとつの場合の勝率を考えましたが、他のどのような場合でも同様に計算ができ勝率は  \frac{3}{4} となります。したがって、自分と相手がどのような戦略を選んだとしても勝率は変わりません。
 
 
 

確率論的には戦略性のないゲームなのですが、番組としてはやり取りが面白く肉が美味しそうでした。